きもの熱・病歴-1

 私も最初からきものファンだったわけではありません。たしかに綺麗なおべべを着ることは大好きでしたが、特にきものを意識していたわけではなかったのです。本格的に症状が出たのは、二十歳のころ。そう聞くと「ああ、成人式の振袖ね」とお思いになることでしょう。でも違うんです。私の場合成人式より先に、短大の卒業式でした。なにせ早生まれでしたし、そのころの成人式は学年ではなく実年齢で行われていたからです。で、卒業式に着る色無地と、謝恩会に着る振袖探しが始まったのでした。


 色無地の生地はそのころ母が昔からお付き合いのあった浅草の呉服店で、アッサリと決まりました。とってもステキな地紋が織り出された白生地を見つけたからです。ではどんな色に染めたのか?これが難儀したのです。一応美大生であった私は色にはこだわりがあったので、染め見本帳の色には満足できませんでした。小さい面積に染められた色はきれいでも、全身になるとどうなるか・・・・すごく色味が強調されてたいへんなことになる。そういったことは色彩学の講義で見当はつきました。色見本調の色はどれもかなり濃く、気に入りません。そこで母が一言「そのまま仕立てれば?」そうです!色が気に入らないならそのまま白いきものにしてしまえばいいのです。母は重ねて言いました。「次に染め変える時、色抜きしなくていいから生地も傷まないし」ナイスアイディアお母様。
そして白い色無地が出来上がったのでした。染め紋・振りと裾回しはさび朱で決まりです。
卒業式の当日は黒い袴に白いきもので挑んだのでした。

でも実は黒い色に染めて真っ赤な振り・裾回しにして、思いっきりレトロにしようかとも考えたのですが、さすがにやりすぎかな?と考えてあきらめたんですけどね(笑)。

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